<1> ボタンクサギ

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ボタンクサギはやや盛りを過ぎている。
もう随分前のこと。初めてここを訪れたとき満開のこの花を目の当たりにした。
次々にやって来るアゲハチョウを興奮しながら撮影したのを覚えている。
今回は1頭も見られず残念。
林の奥から鋭い鳴き声が響く。
ひょっとして、と思いながら声をたどると、5,6人のカメラマンがいる。
大木の茂みの中にツミの幼鳥の姿が見え隠れする。
後ろの方で何やら声がする。
作業服姿の園の職員に年配の方がこんなことを話しているのが聞こえる。
長い間カメラ機材を置いていると、親鳥が警戒して餌をもってこなくなる。
今がいちばん大事な時期なんだから、長時間の撮影はしないように立て札を立ててほしい。
園の方はここは公園ですから、一概に禁止というわけにも。
などというやりとりが届く。
ここから撮影する分には親はそう神経質にもなるまいと思いつつ、その場をはなれる。
つぼみをつけたレンゲショウマが1本。園の塀にからみつくノウゼンカズラの花々。園芸種のキンシバイの花が数輪。
いずれも撮る気にならず通り過ぎる。
歩いていると、ニイニイゼミの声。蝉は鳴き始めの頃は警戒心がつよいのか、足音が近づくと鳴くのを止める。
ヤブカンゾウがもう咲き出している。
ジャコウアゲハの食草、ウマノスズクサ。探し回って可愛らしいつぼみをひとつ見つける。
帰りにツミの営巣している近くの小径を通ると、カメラマンの数はやや増えている。
ひとりは柵の内側に入ってしきりに連写している模様。
なるほど、これではこころあるひとが嘆くのも無理はないなと思う。
アゲハが来ていないか、ともう1度寄ってみるが、花はちかちか瞬きをしながら空を見上げているばかりだった。
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