大町自然観察園 ヤマユリの花
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ヤマユリは格別の味わいがある。
百合の女王と評されるほどにその花の大きさ、色味、香り、優美さなど
どれも抜きんでている。
ここに載せたヤマユリの写真は市川市大町自然観察園
(7月15日~7月30日まで「ヤマユリ鑑賞会」)で撮影したものである。
普段は保護のため立ち入りを禁じられている。
開花の今の時期だけ一般に開放されている。
ヤマユリは小さな丘を上って下って
もうひとつ丘を上ったところまで観察できる。
さほど数が多いとはいえないが広々とした林間の中に
ぽつぽつと佇むように自生している。
その風姿は菱川師宣が描いた見返り美人を思わせ、
楚々として艶やかである。
この自然観察園にはしばしば足を運ぶ。
もっとも気に入っているのは人出がさして多くないことである。
誤解を恐れずにひと言で言ってしまえば
バラ園と温室と噴水の他に一見人目を惹くものは見あたらない。
丘に囲まれた湿地帯で湧水が幾筋かの小川となって流れている。
湿性植物が多く見られ、ドジョウやカエルやヘビなどが棲む。
オニヤンマやヘイケボタルもこのわき水に命を支えられている。
見栄えのよい園芸種の花などは一切なく野辺の草花が自生している。
つまり自然そのものをできるだけ自然な形で保護しようと努めている。
何といってもそこがえらいのである。
冬場などススキやガマが一面に立ち枯れて荒野のように見えるが、
心にしみる風景である。
たくさんの人が押しかけると騒々しくなるのであまり宣伝したくはないが、
とにかく人工物のきわめて少ないひっそりとしたとても貴重な自然観察園である。












